=第四章=
[ADOBEL]
第10話・赤の95標

 

「今もカメラは、僕らの周りに飛来しています。それは、超能力者の血筋を持つ者には認識できない細工を施されていて、僕たちはそれがわからない」
「で、でも、…」エディルが声震わせ、アドベルに問いただした。
「諸悪たるオルトを、殺したのでしょう。今、アドベルがオルトを殺したのならば、私たちはもう殺しあう必要など、ないのでしょう!!」
 シンプルな質問であり、答えも出ている。そうであるはずなのに、アドベルは首を横に振った。
「物語は、進行が決められ、その通りにゲストは動いている。ゲストをすべて、止めない限り、止まらない。そして、オルトが生きている限り、物語は変えられ、進行は止まらなかった。オルトを殺すことで、進行の変更を止めたんです。そして、残るゲストは一人。そして、彼は物語のクライマックスであり、…アポロ、最有力のプレイヤーである君の持っている剣で、そのゲストの胸を貫けば、すべてが終わるんだ。…、そうしなければ」
 そこまで言い切り、アドベルがもう一つの絶望を告げる。

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