=第四章=
[ADOBEL]
第11話・赤の96標

 

「そうしなければ、オルトを殺した所で、きっと後任者が訪れる。物語の完結していない事実は、[人間]に伝わり、オルトが死んだことが分かれば、…きっと。…だから、後任者が来る前に、物語を終え、…」
 そこで、いったん、…アドベルは、言葉を切り、ゆっくりと切り出した。
「物語の進行に関与できる僕が、すべてを破壊する」
「全て…」
 スティアが聞き返す。
「物語に関与するすべての資材を、です。オルトの住居、そして、[AGOTOW]を生み出す装置、…その全てを破壊します」
 アドベルは言い切り、そして、頭を下げた。
「アポロ、スティアさん、エディルさん…。この物語を終えることで、すべての施設が一時的に停止します。停止した瞬間が、すべてなのです。ですから、物語を終えたい」
「終えた後、あなた一人で?すべて??」
 エディルが切り出した言葉に、アドベルはその言いたい事を理解していた。
「皆も協力してくれる。そう言いたいのでしょう…無理です。皆は、プレイヤーであり、そしてエキストラ、[AGOTOW]はゲストであるから。物語の流れを大きくずれる行動はできない。した瞬間、…消えていなくなる。そういって、消えたのがガイスト…アポロ、君の父だ」
 アポロはアドベルの言葉に目を見開いた。
「ガイストは自殺じゃない…。オルトによって、殺された…。なぜなら、アポロ。君を殺そうとしたから…。自分の二の舞をさせまいと思い、…君を殺そうとしたガイストは、オルトに殺された」
「ガイスト様が…アポロ殿を…」
 エディルも目がくらむような感覚を受ける。
「…、全てを話すよ。アポロ、君の母は、エラブ…。僕の母でもあるエラブだ」

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