=第四章=
[ADOBEL]
第17話・赤の102標

 

「僕は、Adobizarは、プレイヤー、物語の主軸となる人たちをストーリーから外れないように補正する立場。でも、もうきみたちのやるべきことは、北の監視塔に行き、そこから[AGOTOW]の洞窟に入り、ユーマに剣を突き立てる。それで終わりだ。Adobizarとしての導きはもう必要ない。そして、僕は進行中であるストーリーの主軸にかかわってはならない。だから、僕はここで別れ、すべての準備に向かうよ」
 アドベルが歩き出す。3人に背を向けて、…。
 誰も、立ち上がれない。声も出せない。
 誰も知っている。アドベルを止めても無駄だと、…。彼を止めても、物語は終わらない。
 だから、ただ、アドベルの話した内容を反芻するように、飲みきれない何かをなんとか呑み込もうと、…。
 そうでもしないと、3人は、自分という自分を保てそうになかったから、…。
 アドベルの姿が、影も形も見えなくなったとしても、3人は動くことができなかった。

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