=第四章=
[ADOBEL]
第21話・赤の106標

 

 きっと、それは、…彼女が眠りから覚めたのは、偶然ではない。
 そして、これは、…きっと彼の思惑であったのだろう。
 馬車宿の外に、アドベルがいた。
 強い覚醒感を覚えつつ、スティアは歩を進めた。
 それから、彼が手をかざし、止まるよう、とされるまでの距離まで近づいた。
 アドベルが口を開いた。
「あの場では、どうしても言い出せなかったのですが…、トゥア様に、伝言をお願いします」
 そして、自分の髪をポニーテールにまとめていた黄色いリボンを解き、そのリボンを彼女にさしだした。
「アドベルは、すこしばかり長い旅に出ます。と」
 …

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