=第四章= |
「しゃべるべきではなかった」 アドベルが口を開く。 「事実は、そのまま、僕がしゃべらずにいれば、スティア様もエディルさんも苦しむ事はないと分かっていたのに。自分が、何をしたのかを…どうしても、少しだけでも知ってもらいたい。そんな自分勝手で…」 「違う!」 スティアが拒絶した。 「事実は知るべきです。事実を知らず、すべてが終わり、その時、初めて、…事実を知るならば、私たちは後悔する。なぜ、貴方を責めたのか、と…。そして、…そして、謝りたいと思っても、貴方がいないのですよ。これがどれほどの苦悩か…苦痛か、絶望か。教えてくれた事実があるからこそ、私は今あなたへ苦悩し、感謝し、謝罪できる」 彼女は、涙があふれ、頬を濡らしていく。 「しゃべるべきではなかった、なんて、言わないでください」 |