=第四章=
[ADOBEL]
第26話・赤の111標

 

「スティア様、スティア様!」
 体を軽く揺り動かされるのに、…多少の不快感を覚えながら、…スティアが目を覚ました。
「エ、ディル…」
「ああ、心配しました…その、泣いておられたので、お加減でも…」
 彼女はベッドの上である。…外に出たはずなのに、…
「アドベルは…?」
「えっ、彼がいたんですか」
 スティアの言葉に驚き、周囲を見るエディル。
「そう…あれは…」
 『夢』とは言いたくない自分がいる。そう、夢であるなど、思いたくもない。
 きっと、Adobizarの力を行使し、夢と思わせようとしたアドベルの思惑だろう。
「アドベルは後ろ向きなのね。自分を蔑んで…」
「スティア様」
 一息だけついた、スティアがエディルに質問をした。

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