=第四章= |
「エディルは、まだアドベルを怪しんでる?」 「いえ、…酷いことを言ってきたと、反省しています」 エディルの言葉に、スティアは安堵のため息を見せ、言葉をつづける。 「エディル、…昨晩、アドベルが私に会いに来たわ」 「そうなのですか!?」 「トゥア王女に渡してほしいものがあると…会いに来たの。でも、こう言ったわ。全てが終わった後、あなた自身が合いに行きなさい」 「そうなんですか」 「エディル、あなたならどうする…。受け取る?」 「いえ、受け取りません。そのまま、首根っこを掴んでみせます」 「ふふ、だから、私を選んだのかもしれないわね」 泣いていたことが、きっと心の濁りを少しでも流せたのだろう、軽やかではないが、幾分か、スティアの心には、余裕が生まれていた。 「私たちが言っても、きっと国民はアドベルを認めない。認めるのはアポロばかりでしょうね。それでいいと思う。事実はあまりに重い。きっと、この出来事が終わっても、国は騒乱するでしょう。そんな事、アドベルを悲しませるだけ…。私達のために、戦ったのに、自分のせいで私たちが争うことになるなど…あってはならない。絶対に」 「…そうですね」 「ありがとう、アドベル。最後まであなたは、私たちを助けてくれる…」 「…私はあえてないのですけど…」 「首根っこと、説教されるのを怖がったんでしょうね」 「んぐ…」 ひとしきり朗らかに笑ったスティア。そして、唇を占める。 「もう、迷わない。物語を終えましょう。まだ、何か救える手立てはあるはず。クリス王女、トゥア王女、そして、アポロのためにも、絶対あきらめない」 |