=終章=
[終焉との決別]
第20話・赤の119標

 

「…、終わったな」
 洞窟奥、…決戦の場、…その中央。
 そこには、あの男、ユーマという男が立っていた。
 しかし、…周囲は閑散としたものである。氷塊も冷気もない。
 ただ、胸に深々と剣を突き立てられたユーマが立っていた。
 もちろん、それに苦痛も激痛も感じないような立ち振る舞いは、…次の行動で、理由がわかる。
 
  右手でもって、左腕の甲冑を掴むと、かなぐり捨てる。
  その左腕はからっぽだった。ちょうど肩元より左腕がなかった。
  左腕の甲冑はそのカムフラージュだった。
  が、…しかし、それも終わりで、
  しばらく待つと、胸に刺さった剣が徐々に小さくなり、反対に左腕は根元から伸び始め、…
  完全に吸収消滅したときには、左腕の指先までがユーマの体についていた。

次に進む/読むのを終了する