=終章=
[終焉との決別]
第24話・赤の123標

 

 アドベルは語らない。ユーマの饒舌は止まらない。
「「人間」の血が、きっと、お前の行動原理。きっと、[人間]の血が、お前を意識の束縛を開放した!きっと、お前がなしえれたのは、[人間]だから!お前は[人間]だから!!」
「止してください。ユーマさん」
 アドベルが言葉をせき止める。
「そうやって、自分にも非があると、私に認めさせようとしないでください」
 涙を流しつつ、ユーマを見上げる。
「貴方には、非などない。たとえ、私が[人間]であったとしても、…私は、私の意志で行動した。貴方は確かに、母に対して、その仕打ちにも思える行動を行わせた。けれど、それは、貴方は救いたかったのでしょう!皆を、[人間]から!!」
 消え行くユーマ、もう、話す力もないだろう…。ただ、瞳だけは…。アドベルに訴える。
「そう、貴方が行った、[人間]に抗い、消される恐怖に対しても勇気でもって、貴方は実行した!、…エラブを、母さんを愛し、慈しんだからこそ、貴方のために、母さんも、臆することなく、私を産んだ!」


「堕ちるのは、私だけでいい。[人間]である私だけが。…ユーマさん、…いえ、義父さん…。私は、貴方の非も背負います。貴方は、皆と共に、いってください。…堕ちないでください。…堕ちるのは、私だけでいい。…」
 ユーマの体が、…消える。もう、粒子さえも…。


「そう、私は[人間]だから。[人間]だったから、今ここにたどり着けた。[人間]の思惑を覆せるのは、[人間]だけ」

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