=終章=
[終焉との決別]
第30話・赤の129標

 

 この事実全てを、アドベルは知った。…どのように?
 前[Adobizar]であるユーマの綻びから、である。
 [Adobizer]には、ストーリーの操舵権を持つ都合上、役割を知らなければならない。
 役割の事実に、アドベルはなぜか嫌悪が産まれた…。
 そして、その事実の確認として、候補権を行使し、オルトの施設に侵入。…そして、事実すべてを知った。…、結果。アドベルは、ある事に行きついたのだ。
 物語はまだ続く、…それはきっと、いや、確実に、
  
  自分が、アポロを、妹を、義父も母も、皆を…、死に先導する。…それを黙って見送らなければならない。
  そう、それは[Adobizar]になれば、必ず訪れる未来…。

 では、辞退をする?それは妹に[Adbizer]を担わせるだけで、皆を救えない。
 [Adobizer]になり、皆を救うストーリーに変える?それは[人間]に逆らうだけで、はく奪されるだろう。
 [人間]であるオルトを黙らせる?必要性はあるが、他の[人間]がくるだけだ。
 では、…中核となる[AGOTOW]の破壊?独りで?自分の能力では無理があり、何より…精神が持たないだろう・・・。

 そういくつかの可能性を思いつき、断念し、思い付き断念し、…そして、一つの答えに統率した。

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