=終章=
[終焉との決別]
第33話・赤の132標

 

  鈍い鈍い…駆動音。さえも、薄らいでいく何かが、アドベルの耳を包んでいく。
  確かに聞こえるが、何を言っているのか、何を奏でているのか、わからない。しかし、
  ノイズ音とも違う。ただただ、不快で気味が悪く、脳髄を抉っていく何か…。
  あえて、たとえるならば、呪言。とも呼べるだろう。
  それが、徐々に、徐々に加速していき、低い音程でありながらも、耳奥に金切り的な刺激を与えていく。

 脳髄を引きちぎる感覚、目の水分が蒸発していく感覚、胃どころか内蔵全てがこむら返りそうな感覚。

 許さない、許しはしない。相手の肢体を思考でのみ引き裂かんばかりの憎悪…。

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