=終章= |
「刹那とは、きっと人の一生ほどはあるのではないでしょうか…。」 アドベルは、エラブの父親を見据え、毅然と言い放つ。 「恒久的な[人間]の解放は、無謀でしょう。でも、人一人の一生ほどには、アポロの生きる間程は」 「その為に、我ら[AGOTOW]は死滅しろと、たった一人の、そこの子供のために」 「はい」 「…、…。…」 エラブの父は、顎をこする。そして、目を細め、天を仰ぎ、…。口を開いた。 「よかろう、薬を作り、喰らわれてやろう…」 ただ、ただ、悟った神妙なる口調でもって、エラブの父はそう語った。 「志、それはユーマもあったもの。なしえなかったのは、純潔であった地球人という事か。しかし、お主のその目、混じっているのだな。[人間]が…、なるほど、成しえれる事は可能なのかもしれぬな…」 そして、右の人差し指を彼は突き上げ、アドベルにこう言った。 「それに対し、私は一つの条件を言おう。簡単なことだ。私の力で戦え。そして最後の盾としろ。お主の拳は、…[AGOTOW]のために、使え」 |