=終章= |
声の主の体がズルリと、アドベルの体から抜け落ちる。 アドベルに進行していった石化を吸い取り、…そう、アドベルが1歩踏み出すための猶予を与えた。 大きな大きな体躯の怪物の顔は、優しく微笑みを見せ、「見せてみよ」と、いう表情だけをみせた。 ガラスケースの前に立つアドベル。 再び末端から石化が始まった。握りしめた拳が石化していくなか、肩を起点に振り上げる。 「ごめんなさい、お二人は悪くない」 アドベルは、脳となった、憎悪だけで満たされているトムとオリビアに声をかけた。 「でも、死んでください。未来のために」 そして、肩が石化する前に、両の腕が振り下ろされ、 強化ガラスを突き破り、満たされた溶液が飛び散る中、 二つの脳みそが鮮血の塊に変わった |