=終章=
[終焉との決別]
第43話・赤の142標

 

 声の主の体がズルリと、アドベルの体から抜け落ちる。
 アドベルに進行していった石化を吸い取り、…そう、アドベルが1歩踏み出すための猶予を与えた。
 大きな大きな体躯の怪物の顔は、優しく微笑みを見せ、「見せてみよ」と、いう表情だけをみせた。
 ガラスケースの前に立つアドベル。
 再び末端から石化が始まった。握りしめた拳が石化していくなか、肩を起点に振り上げる。
「ごめんなさい、お二人は悪くない」
 アドベルは、脳となった、憎悪だけで満たされているトムとオリビアに声をかけた。
「でも、死んでください。未来のために」
 そして、肩が石化する前に、両の腕が振り下ろされ、

  強化ガラスを突き破り、満たされた溶液が飛び散る中、

   二つの脳みそが鮮血の塊に変わった

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