=閉幕= |
一瞬、全てが凍り付く空気が張り詰める。 「スティア、貴方はそのまま、アポロのそばにいるべきでした…。その意味が分かりますか」 「王女、…」 「アポロは英雄ではない。ただただ戦いも嫌う青年で、でも、ただただアドベルを大切にしていた、アドベルの…彼の弟だったのでしょう。そのアドベルが死んだのでしょう。そう、もうアポロは、…独りなのでしょう」 「!!」 「スティア、貴方は戻るべきではなかったのよ」 「クリス、私は…私は、…あぁ、…私は」 クリスの言葉に、スティアは気付いた。エディルもまた、その言葉に、唇をかんだ。 「わ、私は、彼を英雄にしてあげたくなかった…英雄にしたら、アポロは、苦しむから、…私は、英雄にしないために、…私は彼を、独りに…独りに…独りに!!私は、…アドベルに、アドベルに、アポロを託されたのに、…私ができる唯一の償いを…独りに…」 言葉を反芻する、スティアの手から、黄色いリボンが零れ落ちた…。 クリスは、そのスティアの懺悔を聞き、…背を向けた。視線を窓の外に向ける。 ただ、青く輝く、空を…見つめ。 すてぃあが、…さいごに、つぶやいた… 何のために戦ったのでしょう… 何かのために戦ったのでしょう… でも、そこに何が残ったのでしょう… そこに何があったはずでしょう… |