=閉幕=
第11話・赤の156標

 

「お姉ちゃん!!」
  ドアがバンっ!と開かれる。
 心壊れた空気が広がる中、トゥアが部屋に飛び込んできた。
「ねえねえ、スティアお姉ちゃんが返ってきたの!エディルおばちゃんも帰ったんでしょ!」
 3人がたたずむ中、軽やかな声が響く。
「…何のために戦ったのか…は、決まっているわ」
 クリスが、そう言葉をつぶやいた。
 そして、スティアの手から滑り落ちたリボンを取り上げ、トゥアの元に歩み寄った。
「トゥア、お行儀悪いわね。…お祭りに行きたいのね」
「うん、!で、お兄ちゃんはどこ!!」
 その言葉に、スティアが引きつった。が、クリスは優しく微笑んで、トゥアを見て、…
 そして、手に持つリボンをトゥアの右手首にきれいにあしらってみせる。
「お兄ちゃんは、ごめんなさい。…私がお願いしたの。だから、しばらく戻ってこれないの。…トゥア、…ごめんなさい。でも、いい子にしてたら、絶対、お兄ちゃんは、たくさんのプレゼントをもって、トゥアの元へ戻ってくるわ…。」
「えぇええ〜…」
 クリスの言葉に、トゥアはただ不満げにしてみせる。
「お姉ちゃんたちはもう少し整えてから、一緒に行くわ。だから、トゥア、お部屋で待っててね」
 しかし、クリスの優しい笑顔に「本当!」と、ぱあっと輝かせて、「じゃあ、待ってるね!」と、部屋を駆け出して行った。

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