=閉幕=
第12話・赤の157標

 

 「何のために、なんて決まっている…私達の為よ」
 クリス王女は、スティアにそう答えた。
 「アドベルは、確かに、アポロのために戦ったのでしょう。でも、それも含め、私達のために、命を賭した。全てを知っていたから、全てを救いたかった。でも、だからこそ、…全てを救えない事も知っていた。それが蔑みに、理解されない、認められない、そうであったとしても、彼は考え抜いて、選び出した答えが、今の私達よ」
 クリスは、そこまで言い、エディルに尋ねた。
「エディル、アドベルは何をアポロに捧げたかったの?」
「…束の間の…自由です」
「自由、…そう、」
 エディルの言葉に、クリスはアドベルの為したかった全てを知ったかのように、うなずき、…。
 そして、「二人に、…とりわけ、当時のスティアには、伝えれなかったことがあるの」と、話を切り出した。

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