=第一章= |
「…、…」 王の言葉に、…クリスは絶句を返し、…一歩、だけ、歩み寄った。 「お父様、…」 そして、振り絞り…出せた言葉はそれだけで、…。胸をつめ、そして、胸にこもった悲哀を放った。 「ならば、なおさら、お父様を!」「ならぬわ!!」 しかし、それを拒否する王。それから、王はゆっくりと立ち上がり、振り返り、…。 ほの暗い部屋の隅に佇みながら、…再度、クリスを諭す。 「クリスよ、私も老いた。この戦い、[AGOTOW]との戦乱が終結した後、私は幾許と生きれるか。それほど、老いている…のだ。なぜに、そのような者にたいして、次の王の支えとなる者の命をさらす必要もあるか…。お前は生きねばならぬ。生きて、国を守らねばならぬのだ。私が生きていても、死んでいても…だ」 「お父様…、…」 「お前を頼るほかないのだ…。まだ、幼きトゥアには勤まらぬ事だ。事が事だけに隣国に頼む訳にもいかぬ事なのだ。…国を守る事を、私は、…何よりも愁いておるのだ」 王の言葉に、クリスは唇を噛む。…そして、「分かりました…、お父様」とだけ、返すに留めたのだった。 |