=第二章= |
「戦況は如何ほどのものですか!!」 遠視魔法で状況を見つつ、身をすくめる魔術師達に凛としまった声が響く。 「ああ、スティア様。姫のご要望は終わりましたか!」 「ええ、無事に終わったわ。戦況は!?」 魔術師達が声のした方に向き、それから涙目で声の主にと声を張り上げた。 が、その全身を黒いローブで覆い、口元だけは真っ白い肌、その同色に近い唇、そして長めの銀髪のもみ上げだけを覗かせた女性、スティアの答えは簡素にして簡潔なものであり、魔術師達のみる遠視魔法の方を見た。 「あまりよろしくはないようね。…なるほど」 遠視の先に見える小山の如き[AGOTOW]と対峙するアポロ。 振り上げ、振り回し、荒ぶる巨人の剣先に対し、アポロは跳ね、避け、空ぶらせる。 「…分かりました。皆は、周囲防魔封陣の準備を!私はアポロ様の援護に向かいます!」 「スティア様!」 スティアの提案に、魔術師の一人が声張り上げるが、彼女は覗ける口元を微笑で結ぶ。 「私のサポート魔法で周囲の被害を防ぐ為ですよ。しっかりと布陣を引くように」 そういって、集まる魔術師達の返す言葉が来る前に、彼女の姿が消えた。 彼女は、アポロの元へと、魔法で跳んだのだ。 |