=第二章= |
突如、周囲に不調和音がかすかに響く。その間断なく鳴り響く音は近くにいる者なら耳障りなれど、戦闘に集中するアポロの気を削ぐほどのものではない。 それ所か、疲労の蓄積し息の上がりを覚えるアポロの体は徐々に整われ、先程とは違うさらに軽快なフットワークでもって、相手を翻弄し始める。 さらには巨躯の振るわれる斬撃をもその細身の剣で受け、流した! 観戦するしかない周囲も驚きを隠せない中、アポロもまた、体内の力のみなぎりに、何か確信めいたものを感じたようだ。 その確信は、敵の背後、その奥にそびえる建物の屋根の上、魔導服を誰かが、詠唱をしているのが見えた事で確固たる物となる。 そして、確固たる確信でもって、アポロは攻撃に転じるべく、その巨躯に向け、ドンッと地面を蹴り飛んだ。 |