=第二章= |
クリスの呟きは、なにもなく、…本当にすんなりと、実現することとなる。 幾冊かを二人で手分けて、流し読む事数刻、…クリスがふと無き王の書斎にと目を向ける。 そこに、三冊ほどの本が置いてある。そして、遠目で見る限りにも、今、クリスの手にする書籍と同等…、否、同じ冊子である事が伺えた。 少々眉寄せるスティアを置き、クリスはスッと、その書斎にと足を向けた。 そして、その内の1冊、をゆっくりとめくる。 「王女?」 目的を見つけれなかったスティアが苦悶な息を吐き、面を上げて、初めてクリスの不在に気づいたらしく、少々慌てた口調の声を上げた。が、その所在に気づくと、安堵の息を漏らし、そして、クリスの下へ足を運んだ。 「…ふふ、スティア。やはりというか、さすがというか、…お父様よね。最悪の事態も考えておいでだったようよ」 そう寂しそうに、クリスは歩み寄るスティアに声をかけた。 「では、それが…」 「そうよ、ガイスト様の軌跡。お父様の記した英雄の話」 スティアの身近な問いへクリスがそう答え、そして、さらに自らの指で付箋したページを開く。 |