=第三章= |
早朝…。メシア国の北の大地、山岳地帯へと向かう一つの幌馬車があった。 早馬とまでは行かずとも、馬2頭で引く馬車台はガタンガタンと揺れ、軽い土煙を上げて駆けて行く様を、城の中でもひときわ高い塔のバルコニーより、クリス王女が見つめていた。 もちろん、視認するには、遠すぎるそれだったが、かろうじて白い幌の軌道だけは見えていた。 その白い点が視認できなくなるまでの間、クリス王女は見つめ、「…頼みましたよ、アポロ様…スティア」と、…小さく呟いた。 それから、踵を返し、書斎へと足を向ける。…これより[AGOTOW]の襲来におびえる民のために、アポロを解決に向かわせた旨を示す書状を書き示す為に、…。 |