=第三章= |
クリス王女の指示の元、アポロを主とした編成が組まれたパーティ。 人数は最小限に、揺れる馬車馬の中には、二人のみ。スティアとエディル。 スティアは眠りについているのだろう。軽装鎧の膝元だけ防具を取り外したエディルの膝に頭を乗せ、ローブに隠れる顔の覘ける口元からは、スヤスヤと寝息が漏れていた。 エディルはというと、そんなスティアへ慈愛の笑みでもって、見つめ、…ゆっくりと休んでもいる感じでもある。 橙色に近い茶髪を団子状に纏め上げているため、うなじの覘く艶やかさがあり、その体型もグラマラスという程ではないが、母性感じる肉体バランスであり、…スティアと一緒に見ると、母子のような印象さえ与えていた。 「どうかされました?アポロ様」 その視線に気づいたのだろう。エディルが顔をあげ、アポロに微笑みを見せる。 おっとりとした垂れ目がちながらも、瞳には志を持つ凛とした赤い瞳が彼を見、そして、若干豊麗線の望める左下にホクロを持った薄い唇には微笑みを湛えていた。 「あっ、いえ…その、何でもありません」 女性らしいエディルの容貌に少なからずムラムラとしたものを浮かべてしまった事に、一抹の焦りを浮かべながら、少々上ずった返事を返してしまったアポロ。 そのアポロの反応に、エディルはクスクスと、笑いを返して見せたのだった。 |