=第三章= |
陽も上がり、森林の中にも温かさが生まれる頃、馬車が止まる。 その目先には、横に視線を向けても霞むほどにそびえる岩壁があり、その一角には大きな鉄扉が壁の中に埋まっていた。 「ここがオルト老子のお住まいになられている岩山ですね」 先に降り立ち、鉄扉の前に立ったエディルがつぶやき、その手を添えた。 長き年月でも経った為の腐食か、それとも別の何かか、…。鉄扉はかたくなな態度を見せている。 「スティア様、何か開錠の術をお持ちですか?」 「いえ、オルト老子については、禁とされているので…」 エディルが振り返り、アポロに連れ添うように歩いてくるスティアに声をかけるも、彼女は首を横に振った。 「そうですか…」 スティアの言葉にエディルも顔を曇らせる。…その二人を横に、アポロは歩み出て、…その手を鉄扉にあてた。 ズン… という音が鳴り響き、…驚く3人を前に、ゆっくりと、その鉄扉の片方が人一人ずつならば、通れるほどの隙間を開ける。 「なるほど、…」エディルはアポロを見ながら、溜息をついた。 「アポロ殿が御用と分かれば、オルト老子もお顔を出していただけるのですね」 |