=終章= |
「お初にお目にかかります。選ばれし英雄アポロ殿」 3人が洞窟を進み、数刻。 広く開けた、そして外界を大きく望める天井の吹き抜けを持つ、洞窟。その中央に悠然と立つ者が、響く声でもって、3人…その中でもアポロを名指して、語る。 「そのお力の前では、有象無象の輩ではもう意をなさないでしょう事は、先ほどの行動で分かっております。いやはや、父親に似てお強い事」 左腕を銀の甲冑で包んだ、優男である。その様相からは、アポロと対峙すれば、あまりに貧弱な体躯であり、ともすれば、アポロの拳一撃でその首の骨が折れてしまうかのようにも見える。 しかし、その表情は飄々としたもので、3人を道化師でも見るように嘲りの笑みを浮かべていた。 「さて、私が勝てば、国は滅び、貴方様が勝てば、国は救われる。が…」 そう語りつつ。右の手の平を持ち上げ、すんっと振り上げた。瞬間、アポロの後方に立つスティア、エディルが肉の磔台に拘束された。 「何、このような勝負事。やはり、一人と一人が様になりましょう。さらに言わせていただければ、私の稚拙なる拘束魔法に捕まるようでは、足手まといというもの」 そう語る男をよそに、「アポロ殿」と、スティアが声をかけた。 見上げるアポロ。しかし、その眼差しは決意強く、しっかりとうなずき、…ゆっくりと男にと向き直った。 そして、力強い足並みにて、闘技場とも思える洞穴の中央、男の元にと、歩き出したのだった。 |