=第1章・第6部=
真吾

 

 気持ち改め、しっかりと前を見据え、突き出す腕に再度、力を籠める…頃、その指先から発していた魔力に、変動が訪れる。
 重い…、ただ、重い。指先に鉛の塊でも焼き付けられたかのように重く、ひりつく。
 それから、体の奥底から引き上げられる感覚が襲う。
 [時空間]とせめぎ合う暗黒色が力を欲するのだろうか、自分の体に残る魔力の髄さえも捻り絞ろうと指先を絡めとる。
 これは「やばい」。ただ、「やばい」。意識をも吸い取るように、暗黒色は力を吸っていく。
 力をこめ、踏ん張りをいれたくもあるが、この複雑な魔法障壁は解かれてしまうだろう。
 意識を保ち、魔法構成を思い描き、吸い取られ続ける力に耐える。
 にじみ出る脂汗。ふとしたら、罵声が漏れそうになる口元。眩暈も覚える脱力感の連続。
 そして、訪れる限界…。

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