=第2章・第2部=
訪れ

 

 場所にして、閑古鳥の鳴く商店街の一角。珍しいほどに毎日開いている喫茶店[Rain-bow]。ー店内。
 開いているからといって、客足は少ないようで、店主である、ほうれい線を顔に刻んだ女性がカウンター奥で手持ちぶたさに新聞を読み、4人ほどが囲んで座るテーブルには、女子高生らしいセーラー服姿の少女が一人と、胸元は大きく開いたミニスカなウエイトレス姿の女性が一人。の3人だけしか、いなかった。
 そのような様相の中、店主がパサリと新聞のページをめくった瞬間、「おかわり〜」という声が店内に響く。
 しかし、…ウエイトレス姿の女性は、動かない。その少女の顔ほどもある肩こりのしそうな乳房を持ち上げるように組まれた両の腕は解かれる事はなく、仁王のように足はコトリとも動かない…。
 その様子に、少女は「おかわり」を叫んだ際、差し出した小皿をふんっと上に振って、再度「久美ちん、おかわり…は?」と、尋ねかけてみせた。

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