=第4章・第49部=
始まり

 

 その勢いは強烈なもので、食らった男の体も倒れるのではなく、吹き飛ぶ形になり、カウンターにと激突し、衝突してきた人物と板挟みにつぶされる。
 距離があるので声は微かにしか聞こえなかったが、明らかに内蔵でも潰されたようなヒキガエル的叫びが聞こえた。
 倒れ伏す男を腕ねじ上げて組み伏せ、「皆さん、避難してください!」と、突き刺さるほど甲高く命令口調の若い女性の声が構内に響き渡った。
 わあ、と叫び、飛び出す一般人。カウンターに残っていた行員も退避し、そろって奥の部屋へと逃げ帰る。
「…、蜘蛛の子散らしすぎだな」人っ子一人いなくなった様にはあきれ顔を見せるナウは、静かになった構内へと歩み始め、真吾もついてくる形で歩き出す。

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