=第4章・第52部= |
「ナウ!」 真吾の叫びに、軽いうめきを見せつつも、…背後からあのトランシーバーを取り上げるのが見えた。 ただ、衝撃に耐えた彼女は再度組み伏せようとする行動を開始。 「くっ!」真吾は呻き、走り出す。が、男の行動は早かった。 空いている手が動き、自分を押さえつける彼女の手首を掴んだ。うつぶせに押さえつけられている男が、である。 そこに骨などないとねじれる筋肉を見せつけ、ガシリと掴み、「…焼けよ」と、呟いた。 着火物などない、いきなりツヅミの掴まれた手首が火を上げた。 人工皮膚の焼かれる匂い、そして露になる金属腕もまた灼熱し、金属自身が炎を上げた。 抑えの支点を失ったツヅミの体がガクンと揺れ、しかし、踏みとどまり、その両足に力を入れた。 行動が束縛から解放に変わる。 しかし、男の行動は早い。跳躍で離れかけたツヅミの右足首をガシンと掴む。 その手からも炎が噴き出し、さらに振り回し、真吾に向って、投げ捨てた。 「くっ!」 真吾に向って、高速で飛んでくるツヅミを彼は受け止める。 「!!」が、やはり人造人形なのだ。彼女の重さは、人のそれの数倍の重さがあり、足を滑らしながら、ナウの所まで後退させた。 「大丈夫ですか!」 |