=第4章・第53部=
始まり

 

 真吾がツヅミをそっと下ろし、呼吸荒いナウに声かけた。
「咽たが、大丈夫そうだ」
 ゼヒゼヒと息つき、ツヅミを見、「くそ…」ナウの顔がゆがむ。
 掴まれた手首は融解消失し、足首も同じく、溶け固まっている状態に、「002N、エマージスリープ!」と宣言する。
「ナウ」「ツヅミの頭脳データの保持が第一だ。手足は替えはきくが、胴体部頭脳区画のオーバーハングが怖い。奥の久美達と一緒に彼女は引き上げるから、…防衛を頼む」
 ナウの言葉に「分かった」と、真吾が答え、スッと構えをとる。そして、巻き添えを避けるべく、数歩走り出す。

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