=第4章・第55部=
始まり

 

「ああ、大丈夫だ。美矢のおかげでな」
 ナウの平気そうな顔に、奈々美が美矢に視線を移すと、少しため息を交えながら、説明をしだす。
「彼の背中全体に激突によるうっ血症状と骨の異常が見られたから、急速蘇生。まあ、回復の魔法を施したのよ」
 奈々美は少しだけ目を見開き、えっ!?とする。
「セカンドの住人は基本、みな魔法が使える。ただ、サードの住人は使えないから、みな隠してるのさ」ナウがそう説明し、ことさらに続ける。
「こういう時に便利と思うだろうが、この能力が発覚すれば、たちまち俺達の町はとんでもない事件や戦争事に巻き込まれる事になるだろう。…真吾のように武器なしで戦う様を見れば、…まさに生物兵器だ」
 そう言って、ナウは防衛に回った真吾に視線だけを向ける。

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