=第4章・第58部=
始まり

 

 「…いえ、あの男は、セカンドの混血住人じゃないわ。完全な、サードの住人よ」

 美矢の一言は、三人の視線を彼女へと集中させた。
「あなたの言い分であれば、ここもセカンドとも平行で展開している世界。…ならば、サードの住人も魔法が使える可能性はない訳ではないわ。ただ、魔法の発動を知らないだけ。…そうでしょ。ナウ?私達の祖父、影拡様もファーストの人間なのに、セカンドの魔法も習得されたからこそ、サードにたどり着いたのでしょ。ならば、サードの住人も可能性がない事もないわ」
 そこまで言い切り、「でも」と、首を横に振る美矢。
「本来であれば、空気中に漂う魔素を集め、それを生命力で属性変換し、放出するものです。でも、あの男は、違う」
 …。

 「あの男は、自らの生命力を魔素に変換し、魔法を放っているわ」

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