=第4章・第59部=
始まり

 

「なん、だと…!?」
 ナウがツヅミの足を抱えていた事など忘れたように、…手から彼女の足が落ち、ゴトリと音を立てた。
「この世界は、魔素が少ないわ。特に、この都市は皆無に等しい。私も簡単な回復魔法しか使えなかったし、今のお兄様もそう。自分自身を守る防風しか…使えていない。あの男が使っている魔法程の魔素なんて、この場にはないのよ」
「じゃあ、あの男は!!」
 美矢の言葉に、激昂するナウに、彼女はただただ寂しそうに、こう呟いて、言葉を締めくくった。
「もう、火勢が弱い…。あの人、もう駄目ね」

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