=第2章・第6部= |
斯くして、そのような裏事情を知らない二人はというと、… 「ほれ~、」歓喜に沸く奈々美の顔と背中越しに伝わる久美の歯ぎしりを感じさせつつ、「ほれほれほれ~、」と、さらに奈々美はカチドキを上げて、久美を見上げてみせる。…が、 ドン!! と、久美がテーブルを左の平手で叩く。 「おば様が良くても…」歯茎むき出し、犬歯はまるで鬼の如き尖る幻影が見える程、歯にヒビ入らんかのように食いしばりつつ、さらに眼を吊り上げ、そう、般若面でもって、奈々美を睨みつけてから、久美はこう言い放った。 「おば様が良くても、私が許さないってんでしょうがぁああ!!」 |