=第2章・第8部=
訪れ
大きな落雷は町を揺るがすかのようであった。だから、その落雷に気づき、何事かと顔を向けた事だろう。
しかし、…しかしだ。その落雷を予見していた者達もいた。だから、雲のよどみからも、視線を空に向け、稲光の起こるまでの間、各々の思いをもって、事の成り行きを見守っていた。
そして、その中に、…たった一人だけ、「待っていたよ…」と、呟く者がいた。…もちろん、小さく呟いただけであり、…その言葉を聞き及ぶ事はしゃべった本人以外、いなかった訳だが…。
次に進む
/
読むのを終了する