=第3章・第3部=
原線路界町

 

 話す会話が無くなったのか、しばらく霧雨をはじく傘の音に耳を傾けていた二人の後ろから、車の走行音が聞こえてくる。そして、数メートル辺りでクラクションが聞こえた。
 クラクションで立ち止まった二人に横付けした車の運転席の窓が開き、「は〜い」と、藍色の長髪の女性が顔をのぞかせた。
「奈左水先生」と久美は声を上げた横で、「あれ、ナウも一緒なの?」と、奈々美が助手席に座る赤い詰め寄り学生服の男子を見つけた。
「ふふ、その帰りだと、[Rain-Bow]かしら?奈々美、久美」藍色の髪の女性ー奈左水が、クスクスッと笑いながら、特に久美の方を見て、二人に語り掛ける。
「アルバイトは、学校の規則的に禁止なんだけどなぁ〜」
「…、ですから、アルバイトじゃなくて、おば様が手伝ってくれって、言ってるんですって」

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