=第3章・第5部=
原線路界町

 

「しかし、大所帯だね」
 車に乗り込んで、ゆったりとくつろぐ奈々美は、なんとはなく、話しかける。
「久美ちんの家もだし、私の家もでしょ。それに、ナウもだから、凄いね」
「…、そうね。影拡おじさんの息子さんだから、そうなるんじゃない?」
 奈々美の言葉に、少しだけ言葉をくぐもらせた奈左水だったが、バックミラー越しに笑みを見せて、菜々美への答えを言った。
「影拡さんの息子ですか?」奈々美への答えに、久美は軽く片眉を上げつつ言葉を反芻し、それから、少しだけ疑問符な口調で言葉を続ける。
「影拡さんに、息子、いらっしゃったんですか?」

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