=第3章・第6部= |
「え、ぁあ、そうね」 今度の久美の質問には、若干、言葉を濁す奈左水。は、少しだけ息を整えるような間を設けてから、久美の質問に答えてみせる。 「影拡の息子さんは本人の希望で、影拡さん達、というよりも、大人達の元居た場所に留まっていたのよ。そんなにおおっぴらでする事でもないし、私も、息子さんを話しで聞いただけだもの。二人が知らなくても無理はないわ」 奈左水の一通りの説明に二人は「へぇ」と、生返事を返したが、その後、久美が表情を曇らせつつ、言葉を漏らす…。 「まだ、影拡さん、意識が戻ってないんですよね。奈左水先生。息子さん、その事を知ったら、…」 「ええ、そうね…」 二人が言葉暗くする中、「おい、久美」と、ナウが声を上げる。 |