=第3章・第7部=
原線路界町

 

「その人な、お前の母さんの同級生みたいなもんなんだぜ。久方ぶりの再開で喜んでるのに、お前がそんな顔で出てみろ。お前の母さんもいい顔が崩れるぜ」
「…、ナウ…」
「影拡おじさんの件は、おいおいとするはずだからな。今日の所は、歓迎会もするんだぞ。いい顔しろ」
「…、そうね。うん、…」
 ナウの言葉に、久美はうなずき、そして、ちょっと下がり気味だった口角をあげて返事を返し、最後に「ありがとう、ナウ」と、お礼を言った。
「じゃ、先方もいる事だし、急ぐわね」
 久美の話し最後に、奈左水が会話のお開きを告げ、軽くエンジンを吹かす。
 そして、4人を乗せた車は少しだけブルンと揺れてから、速度を上げ、目的地に向けて、快走を始めたのだった。

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