=第3章・第13部=
原線路界町

 

 ナウの言葉に、再び、静寂が辺りを包みこむと、…真吾は顔を軽く横に逸らせ、目を軽く閉ざした。
「失礼…」軽く、真吾の唇が動き、非礼の言葉がこぼれ出る。そして、閉じた目を開け、再び、その瞳にナウの影を映す。
「お名前の方、聞いておりませんでした」
「室戸奈右闇、そっちのが姉さんだから、奈右闇で構わない。まあ、普段はナウって言われてるから、そっちでもいいぜ」
「奈右闇、さんですね」
 真吾の質問に、ナウはそう答えてみせると、なるほど、と彼は頷き、少しだけ目を悲しそうな感じに細め、
 再び、
  
  真吾はナウに次の言葉を投げかけ、ナウもまた、それを切り返してみせた。

  「奈右闇さんは、ひどい人ですね」
  「それは、誉め言葉と受け取っておくよ」

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