=第3章・第20部=
原線路界町

 

「分かりました。智恵美先生」そこに、久美がスクッと立ち上がりながら、智恵美に返答した。
「あら、どうしたの?」久美の行動に、智恵美はキリキリと締め上げていた右手をパッと離し、立ち上がっている久美を見上げる。
 解放され指跡残る頬を押さえる奈々美を他所に、「もう少しで大会も近いですし」と、久美は取り繕いながら、話す。
「明日もそういう要件ですから、今晩少しでも詰めておきたいと…」
「う〜ん、こういう日はしっかりと楽しんだ方が良いと、思うのだけど…」
 久美の言葉に軽く首を傾げる智恵美。は、すっと視線だけをテーブル向こうにし、…それから、口元に微笑みを浮かべ、「なら、久美。相手もいた方が練習もはかどるんじゃない?」一つの提案を持ち掛けた。

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