=第3章・第21部=
原線路界町

 

「真吾君を練習相手にいかがかしら?彼は向こうでは名うての実力者とも聞いているのよ。ぴったりだとは思わない?」
 その申し出に、久美の眉が少し上がり、顔を真吾に向ける。
 名指しされた真吾はというと、ちょうど喉を潤していたのか、コップを口元に傾けていたが、智恵美の声でコップを静かに降ろし、…残った右目を久美にと向ける。
 彼の深紅の瞳が久美を映し、反対に、久美の赤い瞳も彼を映す。
「どう、真吾君?」
「願ってもないですね」

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