=第3章・第22部= |
智恵美が再度、確認を取ると、真吾は視線を智恵美に落とし、静かな口調でもって了承した。 「こちらの実力を知れる良い機会です。…ぜひ、とも」 「わっ!良かったわ」 真吾の了承に、智恵美は若作り的な声を上げて、喜んでみせる。のに、久美は、彼女の真意に気づく。 智恵美の癖で、思惑やたくらみめいた事をもっている事柄には、少々大人げないはしゃぎ方を見せる。 その癖が、今まさにそうである。…だから、久美と真吾には、いずれ試合わすつもりでいたようで、…それが思わぬ速さで実現した事にはしゃいでいるようだ。 少女のようなはしゃぎを見せていた智恵美の顔がすっと治まり、今度は大人の妖艶な笑みでもって、久美を見る。 「どう、久美?…彼はきっと、強いわよ」 |