=第3章・第23部=
原線路界町

 

 大広間から出たのは、真吾と久美、そして、観覧者として智恵美。それから、最後まで抵抗しながらも、智恵美に首根っこを掴まれた奈々美の4人。
「どう、私達も行く?」
 食事のほども中休みといった感じで、残っている者も、箸を置き、息をついていた中、奈左水がナウに話を持ち掛ける。
「確かに、」ナウは奈左水の言葉に、口元を歪め、言葉を続ける。
「…面白そうではあるが、俺としてはここにある興味深い事柄の方が、…面白そうだしな」
 言葉は部屋の中で響き、静寂にとかき消され、…しばらく、経ち、…奈左水が疑問を投げかけようとした瞬間に、ナウが声を発した。

  「なぜ、皆さん、偽名なんて、お使いなんですかね?」

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