=第3章・第25部=
原線路界町

 

「この町は、既にサードに定着を果たしている。[Shadow-Blain]は軌道に乗り、弊害や摩擦にも対応ができるようになっている。もう、智恵美さん達のように偽名を使う必要性はない。あなた方が偽名を使わず、外国からの移住者とすれば事足りている。なのに、あえて、セカンドからの来訪者であるあなた方は偽名を使った…、正確には、偽名を使わざるを得なかった?…ですよね?」
 ナウが一文を一気に語り掛ける。そして、もう一文付け加えた。
「先程、真吾と初対した時、彼は自分を疑え、と言った。なぜ、自分を疑え?…等と?。導き出される答えに二つ。あなた方は、よほどの厄介事をこの町に持ち込んだか、あるいは、既に脅威は到達しており、それを伝えに来た…か」
 一息つかずに語りを終えたナウへ、押し黙り、聞いていた冬也が「事の発端は」と、口を開く。
「…すべて、私の兄、ルビオラが生きていた。事です」

次に進む/読むのを終了する