=第3章・第26部=
原線路界町

 

「ルビオラが生きていた!?」
 それに、座っていた久美の母親が立ち上がり、嬉々とした声を上げる。が、冬也は寂しげにうつむく。
「セカンドの私達の生まれ故郷である国が戦火に焼かれ、そして敗北した時、兄が戦火の中、離れ離れになったのは、ここにいる中では、奈右闇君と奈左水さん以外はお知りでしょう…」
 冬也の言葉に隣に座る優子がうつむく。
「探しはしても見つからない彼を、私達は死んだものと思い込み、…そして、今に至るのですが、…兄は生きていて、私は再開した…。そして、」
 そこまで語り、冬也が面をあげる。…そして、今の今まで閉じていたその両の目を開けた。

  真っ黒い穴があった。黒い大きな瞳ではない。穴である。
 「私は、この両目を潰された…」

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