=第3章・第27部=
原線路界町

 

 ルビオラの生存に喜びの表情を見せたのに、事の内容で…、腰砕けるように膝をつく久美の母。異様な様相に面食らう奈左水。
 ナウだけは淡々としており、ただ、冬也の目の状況に疼いたのか、それとも痛みを共感でもしたのか、片目を閉じた。
「兄は、私の再開を祝福していなかった。ただただ、捨てられたと絶望し、復讐心を燃やした。そして、復讐を果たす為、…行きずりにて子を成し、大量の[シャドウ・ブレインの子孫]と称する子供達を、世に生まれさせた。その存在を知ったからこそ、私はセカンドに留まり、兄を再び探す事を選んだのですが…」
「再開を祝する事無く、ルビオラはあなたの目を潰した」ナウが冬也が少し口ごもる感じを受け取ったのか、不意に代弁するように口を開き、彼のためにと言葉を続ける。
「しかし、復讐する相手はあなただけでなく、智恵美さん達全てであった。けれど、もう、その時には、智恵美さん達はおらず、このサードにいる。その事実に、彼の復讐心はさらにかられ、時空転移した。ただ、追うにもあなただけの力では転移できず、…協力者がやっと得られ、今、ここに来た…といった次第かな?」
 ナウの言葉に、冬也は静かにうなずいた。

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