=第3章・第29部=
原線路界町

 

「方法は、たぶん、セカンドと同じやり口だろう。自分の子供を成して、事を担わせる」
 ナウの言葉に奈左水が眉を跳ね上げ、「それって」まくしたてそうな言葉に、ナウが言葉を重ね、フタをする。
「腐っても、能力者だ。催眠か洗脳か、…考えたくもない吐き気ものだが、そうだろう。そして、能力値が高まるまでじっと息をひそめていた。が、…」
「たぶん、私達の到着を知っているでしょう。そして、事を踏みとめられる前に、たとえ十二分の準備を行えてなくても、行動を移す」
 冬也は、ナウの言葉へ続け、…話を締める。
「…ようは、」ただ、締められた言葉に対して、ナウが言葉を紡ぐ。
「時空転移の代償は、きっとあなたに来るだろう、と算段し、直ぐにでもルビオラの脅威に対抗できるよう準備したのが、あの二人…。とりわけ、真吾が筆頭という事ですね…」
「…、ええ、…そうです。そのつもりでした」ナウの言葉に、冬也はうなだれ、拳を握る。…そして、絞るように、…囁くように、…憎しみの口調で、その言葉を吐き捨てた。

 「ですが、…[時]は彼を…選んでしまった…」

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