=第3章・第30部=
原線路界町

 

 ー水沢家の道場。
 師範は九白奈々美のの母ー智恵美にして、流派龍火流拳術という空手道場を構えており、門下生のほどは、小さい町の為、十数名。
 と言えば、様になるので、そういう事にしているが、本当は学園の部活動である「空手」部員であり、完全な門下生と言えるのは、この家の一人娘である水沢久美、ただ一人と言って過言ではない…。
 三十畳はあろうかと思える道場に、今。
 九白智恵美、まだ食事に未練がましい奈々美、そして、美矢がさみしいからとミミズのたくったような奈々美の習字「大食漢」の掛け軸をかけた中央奥間に座り、その前には。

  空手着の久美と、着の身着のままの真吾が、対峙する形で立っていた。

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