=第3章・第41部=
原線路界町

 

 久美の部屋を後にした奈々美。その歩く方は、久美と約束したつもりの居間へと足を進め、家の外廊下を歩いていた。
 冬の雨も降り、感寒い夜の風と、先程の久美の様相とで、腕を寄せ合わせる奈々美は、心あらずに、歩いていた。が…。
 その目に留まる人影に、足を止める。
  真吾が座っていた。この肌寒い所の寒さではない夜なのに、会った時そのままの麻服一枚で…。
 真吾の姿に、一瞬、固まった奈々美だったが、その胸の内がふつふつと沸き上がり、自然と歩を進めさせる。
 そして、真吾の表情の伺えない左側面にまで歩を進め、立ち止まり…胸の中にあるモノをぶちまけた。

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