=第3章・第45部=
原線路界町
感寒い空気ではない寒気が、奈々美を襲った。
「怖いですか」真吾は顔をまだ空に向け、自分に顔を奈々美には、包帯で覆いつくされた左半面を向けたまま、
「私は、人を殺しています。そういう所より、来たのです」
彼女へ語りかける。
奈々美は言葉を失ったようだった。だから、真吾は視線を下ろし、目の見える右側を奈々美のほうに向け、無表情に「だから、言ったでしょう」と、言葉を放つ。
「知らなければ良かった…、そういう事も世の中に、あるのだと…」
次に進む
/
読むのを終了する